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 はじめに


私の育った時代

 12月に入り、「12月」と思うと同時に、「12月8日は、太平洋戦争開戦の日」という記憶が脳裏を走る昭和4年(1929年)生まれの現在88歳の私です。
 子供の頃の記憶に、日本と中華民国(支那) との間で戦争が始まったとのニュースをラジオで聞き、その後に、学校では「日本は神国です」。「お国の事は、全て日本の神様がお考えです。」と、先生に教えて戴き、「戦争は、日本にとって大切なことなのだ」と思っていました。

 1941年(昭和16年)12月8日未明、アメリカ合衆国のハワイのオアフ島の真珠湾にあったアメリカ海軍の太平洋艦隊とその基地に、日本海軍が航空機や潜航艇で攻撃をしたその朝のことでした。我が家の外の道を「号外! 号外! 」と叫んで走る新聞屋さんの大きな声は、今でも私の記憶の耳から聞こえてきます。
 その後、戦争は激しくなり、特に、1945年(昭和20年)3月10日、東京の上空にアメリカの戦闘機B29が次々と飛来、沢山の焼夷弾を投下して、東京の40% は焼失、約10万の国民が死んだその大空襲の最中、私は防空壕にも入らず、東京の空が真っ赤に染まっていくのを、当時東京の郊外に住んでいたその家の庭から、眺めていました。
 その夜の映像は、7 2年もたった今でも、記憶にしっかりと残っています。

 沢山の焼夷弾が東京に投下された(昭和20年)3月10日のその翌朝、勿論電車は動いていなかったので、私の当時通っていた国立の小学校に登校するのに、電車に乗って1時間もかかる郊外にあった家から、半日かけて歩いて登校しました。途中は殆ど焼け野原でした。焦げ臭いにおいの残る煤の色に覆われた東京の町の中を、焼け焦げた骸を担架に載せ、共同焼き場に運ぶ御家族の姿は、今でも脳裏に刻み付けられています。
 この東京大空襲の後、私の学んでいた学校は、新潟の糸魚川の耕文寺というお寺に疎開。そして、その年の8月6日、広島に原爆投下。8月9日、長崎に原爆投下。

 そして、昭和20年8月15日の正午の事です。疎開したお寺の御本堂に置かれたラジオの前に、生徒全員が直立不動の姿勢で立ち、天皇陛下のラジオ放送を拝聴致しました。日本が戦争に負けるということ等、一切考えない神国日本の國民(くにたみ)として、教育されてきた世代です。「8月14日に日本國はポツダム宣言を受諾。そして降伏。」という放送を聞いたその時のことは、しっかりと記憶に刻まれています。

 今、この時の事を思い出して記していると、当時口ずさんでいた日の丸の旗を振りながら歌った歌が思い出されてきました。
【勝ってくるぞと勇ましく 誓って故郷(くに)を出たからは 手柄立てずに死なりょうか 進軍ラッパ聞くたびに 瞼(まぶた)に浮かぶ 旗の波】
【土も草木も火と燃える 果てなき曠野(こうや)踏み分けて 進む日の丸、鉄兜 馬のたてがみ、なでながら 明日の命を 誰か知る】
【弾丸(たま)もタンクも銃剣も しばし露営の草枕 夢に出てきた父上に死んで還れと 励まされ 覚めて睨(にら)むは敵の空】

 続けての歌詞です。
【思えば今日の戦いに朱(あけ)に染まってにっこりと、笑って死んだ戦友が、天皇陛下万歳と 残した声が忘らりょか】そして最後の締めの歌は
【戦争(いくさ)する身はかねてから 捨てる覚悟でいるものを 鳴いてくれるな草の虫 東洋平和のためならば、なんの命が惜しかろう】(作詩・藪内喜一郎作曲・古関裕而)
 当時子供だった私は、ラジオから流れる歌に合わせて大きな声で一緒に歌って覚えましたから、今も歌えます。忘れていません。そして、全てはお国の命ですから、子供であっても日本国の国民として死に際しても、「天皇陛下万歳」と言って死ぬということは、勿論、心していました。

 その後です。神国日本は戦いに負け、物質文化の物欲に心する大波が、太平洋を越えて日本列島を覆いました。
 大東亜戦争の最後の締めは、全く違った物欲の波を受けての思想転換でした。
 全てはお国の命だった日本国の国民( くにたみ) は、戦後は自己中心の「主義主張」を謳歌する民になりました。その頃、専門学校に通う年になっていた私は、古本屋をあさり、社会主義、共産主義について書いてある本も読み、そうしたことを理解するには、現実に実践して解ることと、左翼思想の人に勧められ、一時はそうした組織に所属したこともありましたが、矢張り馴染めず、すぐにそのご縁は終わりました。

 日本国という日の丸の旗印がおろされ、如何に生きたらいいのか、という模索の中にいた時に、カトリックの信徒でいらした柴田美枝子様にご縁を戴き、「自己放棄」ということを教えて戴きました。其の後、カトリック信者としての洗礼を戴いた後に、富士聖ヨハネ学園とのご縁を戴き「小さなうつわ」との出逢いとなります。
 そして、ある日突然透き通った「小さなうつわ」が心に浮かび、「自己放棄」は、その「小さななうつわ」の心と思い、「小さなうつわ」の詩が生まれました。

「小さなうつわ」

 神様のおつかいが、神様の大切なものをいれるうつわをさがして一日中歩かれましたが見つけることができませんでした。神様のおつかいは、山の端に夕日の沈むのを眺めていらっしゃいました。
 山陰の山すその村外れの片隅で、小さなうつわは神様の大切なものをいれるうつわになれる日を楽しみに待っていました。今日も夕日に挨拶をします。「また、明日。」
 夕日も、山陰の山すその村外れの片隅の小さなうつわに最後の光を投げかけて、山の端に沈みました。
 夕日が沈む最後の光を眺めていらっしゃった神様のおつかいは
 山陰の山すその村外れの片隅に、キラリと光るものを御覧になりました。
 小さなうつわは今は神様のおそばです。神様の大切なものをいれるうつわです。
 小さなうつわは見えますか? ええ、見えますとも、透き通っているから・・・







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