ひな祭り
今年もひな祭りの日が近づいてきました。その「ひな祭り」というコトバにつられて口ずさんでうたうお歌・・・「あかりをつけましょ ぼんぼりに・・・」そのお雛祭りのお歌から、幼なかった頃のおひな祭りの夜に「タイムスリップ」します。
薄暗いお座敷の床の間に飾られていた雛段の前に、幼かった私は、ぼんぼりに灯りを点して下さるお母さまをじっと坐って待っていました。襖があいてお母さまがお座敷に入って来られ、雛壇の前でマッチを擦って、ぼんぼりの中の蝋燭に火を灯して下さったその瞬間、お雛様のお姿がゆれる光の中に浮かんで見えました。
80年も経た今でもはっきりと思い出せる情景です。2006年の『小さなうつわのメッセージ』にその思い出を綴ったお雛祭りの文がありました。
古くからひな人形というのは、「ひいな遊び」といっておままごとのように遊んだようだ。それと流しびな。人の「ひな型」の紙人形や土人形にいろいろの罪や汚れや病魔などを封じて川に流した。お雛様が3月3日の行事となっていくのは江戸時代の初期の頃で、3月3日は(桃の節句)といい、お祓いをする慣習があってこれに流しびなが結びついた。本来はお雛様は「娘一人に一つ」といわれるのは、一人の娘の厄を御祓いするという意味合いがあってのことかも知れない。
そんなのは迷信、過去の単なる仕来りの習慣、と思うかもしれないが、それだけでは見過ごせないのは、先祖からの思い、願い、仕来り、習慣という中に込められた行事の大切な重さを感じるからだ。先祖から受け継いだ儀式、行事の中に、秘められたものが働くのではないだろうか。迷信として片付け、あっさりと形だけのものにするのでは、勿体無いことだと思う。(HPNo33・メッセージ)
明かりをつけましょぼんぼりに・・・
薄暗くなったお座敷に、緋毛氈のひな壇に、母と一緒に並べたお雛様の前に坐っている私が居る。・・・待っている。その時を・・・。
母の声「いいちゃん。どこにいるの。ぼんぼりに火を灯しますよ。」声が近づいてきた。「あら、ここにいたの。」と私を見てから、手にしてきたマッチを擦り、ぼんぼりの中の蝋燭に火を点す。蝋燭の光の輪が広がってお内裏様の端整なお顔が浮き上がり、お内裏様の横の対の桃の花が華やぐ。蝋燭の光のゆらぎから、花のかおりがただよい、かおりにつつまれる。・・・(HPNo33・めぐりあい・ひびきあう空間)
この文の光景が、私のひなまつりの思い出です。続けての文です。
【「ひな祭り」は、お雛様は本来「娘一人に一つ」といわれるのは、一人の娘の厄を御祓いするという意味合いがあってのことかも知れない。その、一人の娘の私の厄払いは、母の餓死の死姿を見た後だったのか。「めおとの愛・絆」。それは、人間の愛の育みの為に戴いているのに、その何よりも大切な愛の結び目に亀裂が入ってしまったら・・・
「悲しいものですね・・・人生って・・・。」そんな歌がありましたよね。】
更に文は続きます。【母は「めおとの愛の育み」に裏切られ、傷心から心の病となり、ひたすら「めおと」の絵を描き、「めおと」のお人形を作り、ひとりで、静かにその想いの中に「めおと」の愛を育んでいたのでしょう・・・】というこの文を書いた娘の私の十歳の時、父と母との「めおと」の愛の結び目は切れ、心を病んだ母は「餓死」という厳しい運命を与えられ、その母の死姿に遭いました。
母の死後、私は、お雛様の「めおと」のお内裏様の御首をもぎ取り、二度とお雛様を飾ることを止めた事を想い出します。そうした、私の思い出を埋めた土の下から、何もしないのに「愛」の芽が芽生えてきたのでした。ただ、ご縁を戴いてのお導きに従うという・・・。そして、見えないところからメッセージは【この世に生まれて心あるもののすることは「愛と奉仕」です。傷ついた心を癒す慈悲という光のコトバのお働きです。】
「愛と奉仕」は「さあ、なんぞいたしましょう」と気張るものではないでしょう。
それは、謙虚で素直の心「小さなもの」の心。その心は、自分勝手の「ままのまんま」の自分に気づくことに始まりました。
聖母マリア様と観音様のご縁のある日にはじまった「小さなうつわの会」は、自分勝手の「ままのまんま」があったら出来ない会。素直な心での「まんまのまま」によってさせていただける会です。「娘の厄を御祓いするひなまつり」は、大切な日でした。
1978年の3月3日のお雛祭りの日に、津友子さんと「うつわ」の出会い。
その夜に私は「小さなうつわ」の詩を泣きながら書きました。そして、その後に「小さなうつわの会」を始めます。その歩みの中に母は生きていたのです。あの母の灯したぼんぼりの蝋燭の炎は消えてはいなかったと、今も思っています。
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