おわりに
『大和民族の根本信念』とは・・
今回の海部光彦宮司様の特集は、『大和民族の根本信念』というこの国に生まれた者としては、解からないでは・・・と思いますが・・・。
「火と水のいざなひ」としての陰陽ということから、この国の神への誘いを理解しやすく説明されておられます。まず、陰陽という理解が、必要のようです。学術的にはわからなくても、具体的なことで、人は、それなりに理解はしていると思いますが・・・。
陰陽という文字で表されたのですから、勿論中国から来た論理、儒教の理(ことわり)。
『記紀』にみえる陰陽の理として、『准南子(えなんじ)』(前漢武帝(前140年)のなかの「天文訓」の天地創世記は、「天地末だ形(あらわれ)れざるときは、憑々翼々洞々漏々たり、故に大昭(たいしょう)といふ。・・・」とあります。
『三五暦記』(呉(220−280)徐整撰)に「未だ天地あらざりしとき渾沌(こんとん)として雞子(たまご) の如く溟滓(めいこう) として始めて牙(きざ)し、濛鴻(もうこう)として滋萌す」という文です。
すぐに『日本書紀』のはじめの文を思い出します。
「古へ、天地未だ剖(わか)れず、陰陽(おんよう)の分れざりし時、渾沌(まろかれ)たること鶏子(とりこ)の如く、溟滓(くぐも)りて牙を含めりき・・・」です。
日本の国の神代といわれている頃は、中国の文化の影響をうけています。中国の古代の哲学は、原初唯一。そして「渾沌」「混沌」。そこから陰陽の二気が生まれ「陽」は上に昇り天に、「陰」は下に降り「地」となり、天地が分かれます。陰陽の思想というのは、中国の天文学から来た理論ということですから、混沌から分かれたこの陰陽を基本として組み立てた論理は、人間が考えたのではなく、天文学から生まれたというのです。
古代の人々が、大空を眺め、大空に映し出される光りの動きから学んだ天文学です。昼は太陽、夜は月と星。そうした自然の動きを観察して、得ていった知恵、その素晴らしさは神話に・・・。
お空を眺めて、空想していたそんな時代にタイムスリップしてみたくなります。
その長い時間の流れの今、私たちが居ます。電気を発明して、夜は明るく、電気のおかげで便利になって、そのおかげ様で、何か、自然の大切な恵みが見えなくなったことがあるのかもしれません。
林兼明氏の平成14年に発刊された『人間革命と宗教革命』という著書に、【儒教に於ける叡智】として書かれている中に「陰陽」について解かりやすく書かれてある文があります。
・・・陰陽の説は永く、根強く、和漢の人心・民俗を支配致しました。
さて「陰陽」は、一切万有「対交寄与」のモデル・ケースでございますが、つらつら案ずるに、この「陰陽の関係」は「矛盾の関係」ではありません。また一方が他方を否定する「敵対関係」でもございません。一方が自らを生かす為に、他方をも同時に生かす関係であり、二者は二にして一、一にして二……。一なる共同目的を達成する為に、一なる絶対道を遂行する為に、互いにベターハーフとならざるを得ない関係であります。・・・
・・・ 相対の一方を欠くことは、他の一方の死滅を意味します。こういう関係を「対交寄与」というのであります。
これに対して「矛盾の関係」とは一方を立つれば他方が立たず、他方を立つれば一方が立たない……絶対に両立のできない。不具戴天の仇敵関係の如き場合をいうのであります。
陽だけでもいけません。陰だけでもいけません。
天だけでもいけません、地だけでもいけません、
完全だけでもいけません、不完全だけでもいけません、
それらが「共存同棲」して、一体の目的を遂げようとする所に、宇宙の造化、エヴオリユーシヨン(エボリューション(evolution)進化・(註五十鈴))が有るのでございます。
今、に戻ります。ミサイルや、宇宙船がお空に飛んで、科学が神秘という言葉の扉を開いている空。エボリューション、進化といわれています。電気を発明して、夜は明るくなりました。そのおかげ様で、昼間の陽との自然のバランスの、暗闇の夜、陰の世界は?
「陰陽の関係」は「矛盾の関係」ではないと林兼明氏は書かれています。陰、陽のバランスという大切な恵みの神様が見えなくなったら・・・。「完全だけでもいけません、不完全だけでもいけません」、というのです。それらが「共存同棲」して、一体の目的を遂げようとする所に、宇宙の造化、進化ですと・・・。私たちには電気という必要欠くべからざるということからの原子炉による発電と、自然の大地震との狭間での大きなテーマに出遭っています。「マイナス」と「プラス」という、自分にとって都合が良いという此の世の価値観だけで取り仕切るだけでは、陰・陽の神様は、お出ましにならないように思われます。この課題は如何なるのでしょうか。神様はどうなさるのでしょう。
【特集019】『元伊勢籠神社 特集2』
元伊勢籠神社 八十二代宮司 海部光彦
【特集019】元伊勢籠神社 八十二代宮司 海部光彦 『元伊勢籠神社 特集2』
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