【特集011】国宝『海部氏系図』が古代史を書き換える 伴とし子

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 また、「『太神宮参詣記』も外宮を天照豊受大神と申、すなわち月神なり」( 前出、『月信仰と再生思想』三浦茂久)とし、「トヨケ、トヨウケにあるウケは、ウカであり、ワカと同じである。これは再生不死の月に通じる」という。すなわち、豊受大神は月神である。
 この豊受大神は『古事記』や『日本書紀』にはほとんどふれられていない。わずかに、『古事記』に、「登由宇気神、此は外宮の度相(わたらい)に坐す神」とあるだけである。
 このように考えると、天は海であり、天照は海を照らすこととなる。そして、その照らす光体は月であり、その月神は豊受大神となる。

 豊受大神は、丹後半島全域にわたり祀られている、いわば丹後の祖神であるが、大和朝廷の歴史書からは消されてしまっている。月神を消すということは、それを祀った氏族、海部氏を歴史の表舞台から消したということでもある。
 しかし、消された神々、氏族とはいえ、それは、静かに沈黙をしてはいても、その力は永続し、すべてをささえ、見守り存在している。そして、今という時、蘇る時を迎えたといえよう。

 月はその満ち欠けによって、さまざまに変貌し、ある時は、細い眉を描いたような儚い姿で魅了する。悲しさや苦しさという人間の痛みを乗り越えてさらに他へと愛をふりそそぐことが、望まれる人の道であるとしたら、それを、見守り導いてくださる神こそが、この豊受大神なのではないだろうか。
 どうして、このように月に心奪われるのであろうか。それは、そこに慈悲に満ちた豊受大神が坐すからだ。

 国宝「海部氏系図」が古代史を書き換える

 その消された神々、氏族を追っていくと、そこに、丹後の祖神豊受大神がおり、海部氏の祖神ホアカリノミコトがいる。
 そして、そのことを記したのが、宮津市にある丹後一宮籠神社所蔵の、竪系図として日本最古系図である国宝『海部氏系図』である。




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